乳房温存療法

乳がんは日本人女性が最も多くかかるがんで、毎年約3万5千人が新たに患者となっている。腫瘍(しゅよう)の周りを切りすぎると乳房の形が悪くなりQOL(生活の質)が下がるが、切除が不十分だと再発率が高くなる。日本乳癌(がん)学会によると、温存療法は80年代後半から広まり、03年に全摘手術を抜いた。
指針では、切除後も乳房の形を大きく損なわないなら腫瘍の大きさが4センチまで温存療法が許されるとした。また腫瘍が複数あっても、近くに2つある場合で安全性が保てると判断されれば、温存の適応とした。

「乳房喪失」というと中条ふみ子さん(1954年没)、「乳房再建」というと千葉敦子さん(1987年没)を思い出す。
乳房という部位は、消化器やら循環器やらと違って、生命の維持に関わる臓器ではない。だから昔は、再発のリスク最小化を考えて「取りましょう」という治療方針だったのだろうね。治療の研究も、もしかするとちょっと後回しになっていた? 
でも、これを専門とした皆さんが、女性のQOLを考えて、少しずつ努力して研究してきたことで、こういう温存治療が確立したのだろう。とってもありがたく思う。