女性能楽師

 「私たち女性能楽師にとりまたとないチャンス。成功させたい」。観世流シテ方能楽師の鵜沢久は、そう奮い立つ。国立能楽堂(東京)が、舞台に立つことの少ない女性能楽師たちの能会を今年から年1回、定期的に開こうという企画だ。第1回の24日に、鵜沢は「小鍛冶(こかじ)」でシテを舞う。
・・・(中略)・・・
 能楽には、男性の芸能として確立した長い歴史と芸態がある。太く低く響く謡に向かない女性の高音。今でこそ小ぶりな物もあるが、きゃしゃな女性には寸法が合いにくい装束や面。プロの世界では「女人禁制」が通用した。
 しかし戦後、女性能楽師のパイオニア津村紀三子の登場で壁は崩れた。48年にプロの能楽師集団の能楽協会に女性が入会した。今は1400人を超す会員のうち、女性は200余人。

女人禁制がこうして少しずつ解けていく。意志と力のある女性には、ぜひ、機会を与えてほしい。機会は均等に。そこから先はもちろん実力の世界。