ベアテ・シロタ・ゴードンさん

草案づくりに与えられた時間は9日間。ロシア語、ドイツ語、フランス語、スペイン語にも堪能なベアテさんは図書館から各国の憲法をかき集め、参考にした。女性の権利を一つでも多く書き込もうとするベアテさんと、削り込みを求めるGHQ首脳部との討論。さらに女性の権利の明記に強い抵抗を示す日本側とGHQの交渉の場にも通訳として立ち会った。
 
妊婦・幼児・非嫡出子の保護、全児童への医療の無料化、労働面での男女差別の禁止……ベアテさんが草案に盛り込んだ多くの項目は「憲法に書き込むには詳細過ぎる」などの理由で削られたが、性別による差別を禁じた第14条「法の下の平等」と、結婚が両性の合意のみに基づくことや夫婦が平等の権利を持つことを明記した第24条「家族生活における個人の尊厳と両性の平等」に生きる。

世界の中には、未だに女性の権利が確立していない国がたくさんあることを考えると、ベアテさんが現在の私に残してくれた憲法14条や24条の存在の大きさを感じる。ベアテさん、“贈りもの”を本当にありがとう。